世界遺産に認定されてから人気の続く熊野古道ですが、短時間でも楽しめる熊野古道を歩いて魅了されて来ました。
トレッキング等のの装備も必要なく、距離も1km弱と短く、老若男女が楽しめる場所をセレクトしましたので参考にして下さい。
和歌山県の南岸は、高速道路も新宮市近くまで開通し、車でも以前よりはるかに行きやすくなりました。
本来の目的は熊野詣であり熊野三山(熊野本宮大社、熊野那智大社、熊野速玉大社)の参詣ですが、その様子はまた次回ご案内するとして、今回は少しですが熊野古道の歴史感がお伝えできればと思います。
アクセス、駐車場情報、観光案内、混雑状況など現地で撮って来た写真でシェアします。少しでも皆さまの旅のお役に立てれば幸いです。
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熊野古道について
熊野古道は、平成16年7月7日に「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界遺産登録されました。
その理由は、三重、奈良、和歌山の三県の広大な範囲にまたがる歴史的資産と、人々と自然の関わりの中で培われた文化的景観が高く評価されたからです。
古代から中世にかけ、熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)の信仰が高まり、天皇から皇族、貴族、庶民に至るまであらゆる階層の人々が、熊野三山を参詣しました。
熊野古道は熊野参詣道とも呼ばれ、熊野三山とへと通じる参詣道の総称であり、三県に渡り張り巡らされた道の事です。
全長は600kmにも及びますが、世界遺産に登録されているのは約半分の総延長347.7kmです。
その理由は
(1)昔の道が残っていない
(2)土地所有者の同意が得られていない
(3)文化財としてのルート確定・掘り起こしができていない
これらの場合は、登録要件を満たさないのでユネスコへの申請前に除外されています。しかし有志の住民らが、草木に埋もれた参詣道の草刈りや倒木の片付けなどに取り組み、追加登録を目指してきました。
こうした住民たちの活動と連動する形で県も国などへの働きかけを行ってきた結果、平成28年に参詣道40kmが追加認定された経緯をお伝えします。
熊野参詣道(熊野古道)
小辺路(こへち)
熊野参詣道の中で最も険しいルートで標高1,000mを超す峠を3つも越えなければならない。
年代 1573年以前
高野山と熊野三山を結ぶ参詣道
登録総延長 43.7km
中辺路(なかへち)
沿道にある熊野神の御子神祀る「王子」、あるいはその遺跡が点在する。本宮大社と速玉大社の間は熊野川の船運が利用された。
年代 有史以前
京都と熊野三山及び熊野三山相互を結ぶ最も重要な参詣道
登録総延長 100.2km
大辺路(おおへち)
海岸美が楽しめる道。江戸時代からは観光を兼ねた人々が利用した。
年代 8世紀
紀伊半島西岸を通る参詣道
登録総延長14.1km
伊勢路(いせじ)
主に東国からの人々が利用した道。参詣者の利用が増加するのは、伊勢神宮と西国巡礼が盛んになる江戸時代からです。
年代 10世紀後半以前
紀伊半島東岸を通り、伊勢神宮と熊野三山を結ぶ
登録総延長 54.2kn
紀伊路(きいじ)
熊野信仰が栄える以前から飛鳥や奈良の都より天皇が紀の温湯へ行幸した街道でもあり、沿道で詠まれた歌が数多く、万葉集に収められています。
年代 10世紀後半以前
淀川河口の渡辺津(摂津国)から紀伊半島西岸を通り紀伊国田辺を経て本宮
世界遺産未登録
※距離、内容はいずれも和歌山県世界遺産センターのパンフレットによるものです。
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熊野古道大門坂のアクセスと所要時間
中部・北陸方面
紀勢自動車道 尾鷲北I.C ⇒ 国道42号線経由 66.8km 約73分
関西方面
紀勢自動車道 すさみ南I.C ⇒ 国道42号線経由 58.1km 約67分
東方面、西方面からも高速道路を降りてから1時間ちょっとで来れる時代になっています。
紀勢自動車道は全線開通していないこともあり、無料区間が多く走った距離よりもはるかに高速料金が安く上がります。
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大門坂駐車場情報
大門坂駐車場
住所
〒649-5302 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町市野々3034-2
324 888 771*67
利用時間
24時間
利用料金
無料
普通車
約50台
トイレ有
熊野古道を歩くならここから歩いて行くことをお勧めします。熊野那智大社や那智の滝、青岸渡寺だけなら車で登って行けば有料駐車場があります。
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熊野古道大門坂の利用情報
大門坂用に無料で杖が貸し出されています。通り抜けに料金はいりませんので好きなだけ古道の雰囲気を味わって下さい。
大門坂の熊野古道を楽しむパターンは5つです。
①大門坂駐車場に車を停め熊野古道を通り那智大社、青岸渡寺、那智の滝を見て路線バスで駐車場にもどる。
②大門坂駐車場に車を停め熊野古道を通り那智大社、青岸渡寺、那智の滝を見て熊野古道を歩いて駐車場にもどる。
③上の那智の滝付近もしくは、青岸渡寺の駐車場に停め、上から熊野古道を歩いて下り路線バスで駐車場にもどる
④上の那智の滝付近もしくは、青岸渡寺の駐車場に停め、上から熊野古道を歩いて下り適当な所でUターンして歩いて駐車場にもどる。
⑤上の那智の滝付近もしくは、青岸渡寺の駐車場に停め、先に路線バスで大門坂駐車場に行き歩いてを熊野古道登る。
路線バスで2区間(那智の滝前~大門坂駐車場)なので10分ほどで到着する距離です。大人片道250円です。
お勧めは①、②ですが時間と歩ける距離、体力で決めればいいでしょう。管理人はですね~みちしるべをご覧ください。
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みちしるべ
大門坂駐車場
土曜日6:00AMです。駐車場には夜間到着組を含めて6台くらいでした。公共交通機関を使っていてはこの時間には来れませんのでもちろんマイカーです。
なぜこの時間かと言うと、折角の熊野古道を歩く訳ですから、「人が少ない方が古道の雰囲気が出ていいんじゃないの」という訳で、早朝の人が少ない時間を選びました。
また熊野三山をマイカーで回るにしても本宮はかなり離れているので早朝スタートに越したことはありません。
始発組より早く
熊野交通の路線バス時刻表によると、「紀伊勝浦駅」を始発6:45分に乗れば「大門坂駐車場前」には7:04分に到着します。ですので公共交通機関組に勝つには、朝7:00には歩き出したいところです。
また観光バスが到着すると一気に人口密度が増えますので、早朝到着が絶対オススメ。
八咫烏(やたがらす)
八咫烏(やたがらす)は神武天皇のもとに遣わされ、熊野国から大和国への道案内をしたとされる三本足の烏です。
熊野の神様のお使いであり、より良い方向へ導く、お導きの神として、熊野那智大社の境内にある御縣彦社(みあがたひこしゃ)や熊野本宮大社、熊野速玉大社でお祀りされています。
八咫烏はサッカー日本代表チームのユニフォーム胸のマークにも使われていますので、サッカーとのつながりも多いです。
中辺路(なかへじ)
中辺路はは熊野三山を巡る参詣道で人気のウォーキングコースとなっていますが、今回は中辺路の中でもほんの一部のいいとこ取りを歩きます。
石畳が美しい「大門坂」を上り、熊野那智大社、那智山青岸渡寺、那智の滝と向かう超初心者のコースです。
距離:約2.5km
所要時間:約2~3時間(観光を含む)
歩行のみの時間:約1~1.5時間
※実際には駐車所に帰って来る時間も考慮しましょう。
※一本道で案内板もあり地図もいりませんが、スニーカー等の歩きやすい靴で行きましょう。
大門坂
大門坂駐車場より300mほどです。ここで車道と古道に分かれます。
世界遺産、熊野古道の石碑が記念撮影を促すように並んでします。
立て札にそって一本道を歩いて行きましょう。アスファルトの道はここで終わりです。
振ヶ瀬橋(ふりがせばし)
鳥居があり昔より霊場への入り口といわれたそうです。橋を渡れば神域という意味なのでしょう。
夫婦杉
ここからが古道らしくなっていく人気のウォーキングコースです。まずは夫婦杉が参詣者を迎えます。
幹回り8.5m、高さ55mオーバーで樹齢800年と言われています。鎌倉時代の産物です。
大門坂入口から熊野那智大社へは石段の上りとなりますが、約1.3km・約40分と距離も短く、杉木立に囲まれた苔むした石段は、熊野古道の雰囲気も満点。
熊野古道の中でも600mも石段が続くのはここだけではないでしょうか?このコースが人気の理由かも知れません。
多富気王子(たふけおうじ)
熊野参詣道この中辺路にある最後の王子社(熊野神)です。熊野参詣道にはおよそ100社ほどの王子が祀られています。
峠の神仏に「手向け(たむけ)」をした場所で、それがいつしか王子と呼ばれるようになったと思われます。
全ての王子社をお参りするには、全長600kmに及ぶ熊野参詣道をすべて制覇しなければなりませんのでかなりの苦行になります。
山道の急こう配でありながら誰が運んで作ったのか、石畳が何百年も変らぬ姿で敷き詰められています。
石畳が用いられたのは、紀伊半島が日本でも有数の降雨量の多い地域だからです。
熊野古道バス亭
「大門坂駐車場前」の次のバス亭がここ「熊野古道」です。
古道が道路と隣接しているのでここで降りればすぐ熊野古道が堪能できます。
ここまでの徒歩での所要時間は大門坂駐車場から20分です。
朝一なら好きなだけ写真が撮れます
那智の滝の駐車場に停めてこの場所まで徒歩やバスで一旦降りてから登る方法もあります。いずれにしろここからが中辺路のいちばんいい所なので必ず通っておきたい道です。
朝一なら熊野古道を一人占め出来ます。
熊野古道
木々の間から木漏れ日がいい雰囲気を醸し出しています。早朝の清々しい空気感がまたいいです。
この神秘的な風景に魅了されました。石段は267段、600mと少々短いですが、一段一段、熊野那智大社を目指して登って行きます。
その美しさに思わず息をのみます。神が舞い降りる、通り抜けると言われても納得します。ジブリに出て来そうな風景です。
だ~れもいません。この静寂につつまれた空気感、匂いがいいです。「早起きは三文の徳」といいますが、三文よりもっと徳を頂きました。
振り返ってもだ~れもいません。1人だとちょっと怖いかも知れません。
当時参詣道は通行税を取っていたのですね。
熊野古道最後の一枚です。いにしえより変らぬ石畳の姿を今に伝えます。ご堪能下さい。
那智山参道
267段、約600mの石段が終わり、開けた場所に出ます。この場所に大門が建っていたことから「大門坂」とよばれている。案内板に目を通して納得。
大門坂を抜けると休憩所があるようです。
この上が休憩所、熊野那智大社は右です。管理人よりもっと下の紀伊勝浦駅から7kmほど歩いてきた人はここで休憩するといいでしょう。
標識に従って熊野那智大社に向かいます。
このあたりは山道ではなくコンクリートで固められた道を進みます。
すでにこんな高くまで登って来ました。
熊野那智大社の参道
参道は道路を横切ります。
那智山参道入口の石碑が見えました。
ゴールはすぐそこのはず・・・ですがまだまだ石段が。
お土産屋さん
この時間は早朝なのでどこもお店は開いていませんが、熊野那智大社、青岸渡寺を参拝していると開いてきます。
またお土産屋さんは那智の滝周辺にもありますのでご安心を。
実方院跡
上皇たちの宿所の跡地。熊野御幸とは、上皇の熊野詣のことで、9回熊野御幸した白川上皇、33回熊野御幸した後白川上皇も宿泊したのでしょう。
熊野那智大社
やっと熊野那智大社の一の鳥居、二の鳥居が見えました。右は青岸渡寺の山門です。
大門坂駐車場から散策しながらゆっくり歩いても、1時間あればここまで来れます。
まさに初心者コースなので管理人のような軟弱ものにはうってつけでした。ウォーキング好きな方にはまったく物足りないでしょうから、帰りも歩くという方法はあります。
熊野那智大社が気になった方は「熊野三山を巡る旅 熊野那智大社の御朱印・御朱印帳・参拝情報をシェア」まで。
那智の滝前バス亭
いかがでした?ほんの少しでしたが熊野古道の雰囲気は伝わったのではないでしょうか?、管理人は熊野那智大社、青岸渡寺、那智の滝と回って路線バスで大門坂駐車場に戻って来ました。
バスの時間を調べるべし
路線バスは1時間に2本しかありません。那智の滝前バス亭で時刻表を見てから那智の滝に降りると観光の時間配分が出来ます。
また、那智の滝前にはお土産屋さんもたくさんありますので、バス待ちの時間つぶしにはなります。
いずれにしろ、バスで大門坂駐車場までもどる人は先にバスの時間を見ておきましょう。
那智の滝が気になった方は「飛瀧神社の御朱印は那智の滝?最強パワースポット?を現地調査」まで。
まとめ
熊野古道 大門坂はいかがでしたでしょうか? 混み具合も季節にもよると思うのですが、訪れたのは4月のゴールデンウイーク前の土曜日です。
現地に行って気になった事をまとめてみましたので見て行って下さい。気が付けばこの記事も5,700文字の大作になってしまいました。
- 熊野古道を堪能するなら観光客の少ない早朝がお勧めです。観光バス等が到着すると一気に人が流れ込み、写真撮影どころではなくなります。
- 散策しながらゆっくり登っても大門坂駐車場から熊野那智大社一の鳥居まで1時間くらいです。もう少し歩きたい方は、那智駅からの約7.4kmのウォークコースもあります。
- 大門坂駐車場~大門坂~熊野那智大社~青岸渡寺~那智の滝~大門坂駐車場に戻るまで、余裕をもって、約3時間半から4時間ほどの所要時間をみましょう。管理人は、4時間かかりました。
- 御朱印も何ヶ所か拝受して頂けますので、待ち時間が発生する場合があります。歩くのが速い方、写真をあまりとらない方、御朱印の拝受されない方は3時間程度みておきましょう。
- 路線バスはワンマンなので釣銭のいらないよう丁度で用意しておきましょう。また、降りるバス亭の前で停車ボタンを押さないと止まってくれません。
- 駐車場に戻るバスが1時間に2本しかないので最後の那智の滝を見る前にバス亭で時刻表を見ておきましょう。
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